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【知っておきたい】『リハビリ』ってなに?「リハビリテーション」の本来の意味!

リハビリ


とある「職場体験会」の一幕。

参加されていた生徒さんからのご質問。


生徒さん
生徒さん

「リハビリ」ってなんですか?


私の勤務している病院では毎年、

中学生や高校生を対象に

「職場体験会」を行っています。


私たち医療専門職と接したり

仕事の一部を実際に体験することで

医療や介護に興味を持ってもらう

ことが目的です。


私の働くリハビリテーション科にも

たくさんの生徒さんたちが訪れ、

いつも楽しく体験会を行っています。


そんななか一人の生徒さんから、

大変おもしろい質問を受けました。


生徒さん
生徒さん

テレビで「リハビリ」ってよく聞きますけど、「リハビリ」ってどういう意味ですか?


『リハビリ』という言葉が

一般の方々に浸透して久しい昨今。

その意味は、

病気やケガをすることで低下した

身体の機能

生活するために必要な

活動の能力などを

回復させるための「治療や訓練」

として認識されています。


しかし、

『リハビリ』の本来の意味は、

「身体の機能や活動の能力を
   回復させるための治療や訓練」

ではありません!


そこで今回は、

『リハビリ』の本来の意味について

簡単にご説明したいと思います。


その本来の意味とは、

『再び適した状態になること』

です。


最後まで読んでいただけたら

嬉しいです。


こんな方に読んでいただきたいです
  • 「リハビリテーション」の本来の意味を知りたいと思っている方。
  • 病気やケガなどにより、なんらかの障がいのある方。
  • 医療や介護に従事されている専門職の方。



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1.『リハビリ』の本来の意味

『リハビリ』という言葉は、

「リハビリテーション」の略語です。

日本では1960年代から

使われるようになりました。


もともとは、

英語文化圏の「Rehabilitation」

という言葉を日本に持ち込んだ

外来語です。


この「Rehabilitation」は、

以下の3つの言葉語源

となっています。


「リハビリ」の語源となる3つの言葉
  • 『re』という「再び」を意味する言葉。
  • ラテン語の『habilis』という「適した(ふさわしい)」を意味する言葉。
  • 『action』という「~にすること」を意味する言葉。


これら3つの語源をあわせると

『再び適した状態にすること』

となります。

これが、

「リハビリテーション」の

本来の意味です。


歴史をひも解くと、

「リハビリテーション」は

時代ごとに以下のような意味で

使用されてきました。


<中世ヨーロッパ>では、

「身分や地位を回復すること」

「宗教からの破門を取り消すこと」

などを意味する言葉として

用いられました。


<近代>では、

「名誉を回復すること」

「権利を回復すること」

「無実の罪を取り消すこと」

などの意味が加わりました。


そして<現代>に至っては、

「犯罪者の社会復帰」

「政治の道を閉ざされた政治家が、
       政界に復帰すること」

などの意味も加わっています。



つまり、

『リハビリテーション』はもともと、

「医学的な治療や訓練」のような

特別な意味を持つ言葉ではなく、

日常会話で使用される一般的な言葉

として用いられてきたのです。


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2.障がい者と『リハビリ』

『リハビリテーション』という言葉が

身体に障がいのある方に

用いられるようになったのは、

約100年前からです。


第一次世界大戦中の1917年、

アメリカの陸軍病院に

「身体再建および
   リハビリテーション部門」

設けられたのが最初です。


傷病兵の社会復帰や職業復帰のための

治療や訓練として、

現在の「作業療法」や「理学療法」の

重要性が認識されました。


日本においては、

1940年代~1950年代にかけて、

ポリオ(急性灰白隨縁)の後遺症による

障がいをもった肢体不自由児への

治療や教育のため。

そして、

第二次世界大戦により

負傷した兵士の

短期回復や社会復帰のために、

リハビリテーションの考え方が

導入されました。


ポリオ(急性灰白隨炎)とは?
 「脊髄性小児麻痺」とも呼ばれ、ポリオウイルスによって発症する病気です。子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、手足がだらんとするような麻痺(弛緩性麻痺)の症状が特徴です。後遺症が一生残る場合があり、特に成人では重症化しやすく亡くなる方もいらっしゃいます。


1960年代頃からは

脳卒中患者などの社会復帰のため、

医療において「リハビリテーション」

の考え方に注目が集まり、

「治療医学」「予防医学」に次ぐ

第三の医学として

「医学的リハビリテーション」

全国に広まったのです。


医療における3つの「医学」
  • 「治療医学」
  • 「予防医学」
  • 「医学的リハビリテーション」


3,『リハビリ』の定義

このような歴史的背景をうけ、

「リハビリテーション」は

以下のように定義されました。


【WHO(世界保健機関)】
 リハビリテーションとは、医学的、社会的、教育的、職業的手段を組み合わせ、かつ相互に調整して、訓練あるいは再訓練することによって、障がい者の機能的能力を可能な最高レベルに達せしめることである。(1968年)

【国連・障がい者世界行動計画】
 リハビリテーションとは、身体的、精神的、かつまた社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことをめざし、かつ時間を限定したプロセスである。(1982年)

【厚生白書(昭和40年度版)】
 リハビリテーションとは、心身に障がいがある者が社会人としての生活ができるようにすることである。実際には、心身に障がいのある人の社会復帰 ―職場への復帰、家庭への復帰、あるいは学校への復帰― を促進することを目的とし、患者の機能を促進することにより、身体的、精神的、社会的、職業的にその能力を最大限に発揮させて、最も充実した生活ができるようにすることを目的としている。
注)厚生白書(昭和56年度版)において、「単に運動障害の機能回復訓練の部分だけをいうのではない。」と記載されました。


これらの定義を読み解くと

「リハビリテーション」とは

以下のように要約できます。


定義からみた「リハビリテーション」
  • 「医学的」「社会的」「教育的」「職業的」の4つの分野から構成される。
    ※医学的な側面に特化したものではない。
  • 目的は、身体的、精神的、社会的にもっとも適した機能水準にすること。
  • 「リハビリテーション」の主体は、障がいのある当事者である。


このように「リハビリテーション」は、

身体的、精神的、社会的に

なんらかの障がいをもった方が、

もっとも適した状態への回復を目指し

自ら主体的に行うことです。

そして、

様々な分野の専門家が

その支援を行うのです。


支援の一翼を担うのが

「医学的リハビリテーション」であり、

医学的リハの専門家の一人が

私のような理学療法士となります。


4.『医学的リハビリ』の専門家

「リハビリテーション」は、

障がいをもった方が主体的に行い、

その支援を種々の専門家が行います。


「リハビリテーション」は大きく分けると、

「医学的」「教育的」「職業的」「社会的」

4つの分野から構成され、

その一翼を担うのが

「医学的リハビリテーション」です。



WHO(世界保健機関)は、

「医学的リハビリテーション」を

以下のように定義しています。


【医学的リハビリテーションの定義】
 リハビリテーションは医学的には、予防医学、治療医学に次いで第三の医学とも呼ばれ、疾病や事故による後遺症、慢性疾患、老年性疾患など治療期間が長引きやすい患者の潜在能力に働きかけ、自然治癒を積極的に促進させる技術であり、内科的、外科的治療の応用とともにあらゆる物理的、心理的手段を補足的に併用させる一連の医療措置である。これは、単に治療のための医学的看護措置だけでなく、理学療法、作業療法、言語聴覚療法、補装具の処置と訓練、医療ソーシャルワーカーによる援助等も含み、医療の可能性を最大限に拡大させようとする積極的な更生援護である。(WHO 1949年)


「医学的リハビリテーション」は、

医学的な知識・技術をもった

様々な専門家が関わり、

病気やケガにより障がいをおった方が

「リハビリテーション(社会復帰)」

することを援助します。


専門の医療従事者が関わることで、

治療や訓練だけでなく

各種手続きやその他の情報の提供など

きめ細かく支援し

早期の社会復帰に繋げているのです。


回復期リハビリテーションネットの図を参考に作成


「リハビリの専門家」と聞くと、

「理学療法士」「作業療法士」「言語聴覚士」

を思い浮かべる人が多いかもしれません。


しかし、

障がいのある方々が

「リハビリテーション」するためには、

様々な専門家の支えが必要です。


つまり、

専門分野にかかわらず、

「医学的リハビリテーション」に関わる

すべての専門家が「リハビリの専門家」

といえるのです。


5.まとめ

今回は、

『リハビリ』の本来の意味について

簡単にご説明させていただきました。


『リハビリ』という言葉は、

「Rehabilitation」の略語であり、

以下の3つの言葉語源

となっています。


「リハビリ」の語源となる3つの言葉
  • 『re』という「再び」を意味する言葉。
  • ラテン語の『habilis』という「適した(ふさわしい)」を意味する言葉。
  • 『action』という「~にすること」を意味する言葉。


これら3つの語源をあわせた

『再び適した状態にすること』

『リハビリ』の本来の意味です。


歴史的にみても、

「医学的な治療や訓練」のような

特別な意味を持つ言葉ではなく、

日常会話で使用される一般的な言葉

として用いられてきました。



身体に障がいのある方に

用いられるようになったのは

約100年前からです。


戦争による負傷や病気の後遺症により

障がいをおった方々の社会復帰のため、

第三の医学として

「リハビリテーション」の考え方が

医療に導入されました。


医療における3つの「医学」
  • 「治療医学」
  • 「予防医学」
  • 「医学的リハビリテーション」


このような歴史的背景をうけ、

「リハビリテーション」は

世界や日本で定義づけされ、

それぞれの定義を要約すると

以下のようになります。


定義からみた「リハビリテーション」
  • 「医学的」「社会的」「教育的」「職業的」の4つの分野から構成される
    ※医学的側面に特化したものではない。
  • 目的は、身体的、精神的、社会的にもっとも適した機能水準にすること。
  • 「リハビリテーション」の主体は、障がいのある当事者である。


「リハビリテーション」は

大きく分けて4つの分野で構成され、

その一翼を担うのが、

「医学的リハビリテーション」です。



「医学的リハビリテーション」は、

医学的な知識・技術をもった

様々な専門家が関わり、

病気やケガにより障がいをおった方が

「リハビリテーション(社会復帰)」

することを援助します。



「リハビリテーション」は、

「身体の機能や活動の能力を
   回復させるための治療や訓練」

ではありません


障がいのある方が、

自ら『再び適した状態になること』

です。


そして専門家は、

ある人は「診断」を

ある人は「看護」を

ある人は「理学療法」を

ある人は・・・。

それぞれの専門的知識・技術を結集

障がいのある方が

自ら「リハビリテーション」することを

支援していくのです。


ご質問していただいた生徒さんにも、

「リハビリテーション」や

「医学的リハビリテーション」について

ご説明させていただきました。

私のつたない説明にも関わらず

目を輝かせて聞いていた姿が

すごく印象的でした。


最後までお読みいただき

ありがとうございました。

リハビリ
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